●経営者のための「がん防災マニュアル」中小企業版 社長インタビュー
横浜市版からのご紹介です。
話し手:
中谷 忠宏 代表取締役社長
株式会社 旭広告社について
昭和13年創立の地域密着型の総合広告会社。電柱広告、交通広告、Web広告、マスメディア、イベント企画・運営などを総合的に提案し広告主の想いを形に。
本社:神奈川県横浜市
社員:約80名(2023年現在) 横浜健康経営認証・よこはまグッドバランス企業認定取得企業
社員の自主性と成長を育む健康経営
● 御社は創立85年目を迎えられましたが、昔から社員のワークライフバランスに関心が高い企業だったのでしょうか。
昔からこうだったわけではありません。残業しながら無理やりある程度まで詰め込むことが、成長やスキルの獲得につながると考えられていた時期もありました。しかし、10年ほど前からそれは違うのではないか、残業よりも効率のよい働き方ができないかと方法を模索するようになりました。
その一つとして、部門別採算制を取り入れ、時間をコストと考え、それぞれの社員が業務に費やした時間を社内で可視化する仕組みを作り上げました。例えば200万円の受注をしてきても、それにかける時間次第で時間当り利益が変わってきます。各自が目標達成のために、どうやって時間の無駄を減らすかの知恵を絞るようになりました。そのような取組により、2015年にはよこはまグッドバランス企業認定、 2019年には横浜健康経営認証を取得しました。
●「よこはまグッドバランス企業認定」「横浜健康経営認証」取得のきっかけはどのようなものだったのでしょうか
働き方改革や健康経営を進めていくうえで、どういった点を改善あるいは取り組むかという検討項目は多岐にわたります。項目や基準を独自に考えるより、行政の考えた項目を実施していくほうが早く、合理的と考えました。また、よこはまグッドバランス企業認定や横浜健康経営認証を取得すると、横浜市の公共調達で優遇される面などのメリットも魅力的でした*。当社も最初から全てができていたわけではなく、応募の段階ではかかとをあげて挑戦していた面はあります。失敗してもいいから始めてみようという気持ちでチャレンジしました。
● 働き方が変わって感じた変化はありますか?
「10%ルール」「17時間プロジェクト」というものを始めました。
「10%ルール」とは社員からの提案により、新たな学びや発想が生まれる場として、就業時間の10%を使って自主的に活動をしてもらうというものです。制作の社員が講師となりイラストレーター(デザインアプリ)の使い方を教えたり、最新の経済報告を動画で一緒に学び合ったり、電柱広告の新たな形を模索したりなど、自分の興味を
持ったことに取り組みながら、横の繋がりも広がっていきます。SDGs研究のグループは、 SDGsのゴール 3「すべての人に健康と福祉を」に着目し、アプリを使って社員対抗ウォーキング大会を企画しました。好評を博して今年は第2弾でチーム対抗戦を開催しています。
「17時間プロジェクト」では、イベントなど、希望するプロジェクトに月17時間まで参加することができ、部署を超えて実践的に新たな業務を学べることから、特に若い社員の参加が目立っています。
●スポーツのほかに健康経営としてされていることはありますか。
当社は、定期健診の他に生活習慣病健診の費用負担、さらに、オプションのがん検診の費用を負担しています。男性は45歳以上の方にPSA検査、女性は40歳以上の方に毎年乳がん検診、さらに年齢にかかわらず子宮頸がん検診を受診してもらっています。協会けんぽからの指摘がある社員などには総務から個別にフォローもしています。
●実際に柔軟な働き方が必要な社員にはどう対応していらっしゃいますか?
社員に何かあれば総務が相談を受けており、総務から私に相談を入れてもらっています。例えば人工透析をしなければいけなくなった社員には、出社時間の調整をしました。それに合わせて時短勤務など就業規則にも変更を加えました。中小企業なので柔軟な対応はしやすいですが、あまり就業規則とかけ離れてしまうと、不公平感がでてしまいます。そのため実態に合わせて就業規則を少しずつ修正しています。また最近、男性職員が初めてパパ育休を取得しました。若い社員の女性比率も高まっており、これから出産・育児というライフイベントも増える可能性があります。今は複雑な仕事になると、できる人材が限られるものもあります。お互いフォローしあえるよう、社員のマルチスキル化を進めたいと思っています。
●最後に、社長の経営方針についてお聞かせください
私たちの経営理念に「全社員の物心両面の幸福を追求する」というものがあります。「物」とは給与その他福利厚生のことですが、「心」とは、働きがいや自分の成長、そして安心、安全だと考えています。私は、自主的に考えて行動することは成長につながり、成長は働きがいにつながると信じています。特に、私たちのビジネスである広告は、地域社会やお客様を元気にし、発展させる仕事です。そのためにも社員が創意工夫をし、学び成長することで、提案の質を上げていきたいと考えています。
2023年9月21日
聞き手:がんと働く応援団 野北まどか、芝原有可子
文 章:野北まどか
経営者のためのがん防災マニュアル(中小企業版)企業の「がん防災」事例
横浜市版より
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