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サッポロビール株式会社様 両立支援に対する取り組み

更新日:2020年11月17日

GHO連載企画 治療と仕事の両立支援に取り組む企業様インタビュー

高齢化社会・女性の社会進出・医療技術の進歩・定年制度の見直し等

企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。

企業を支える社員が安心して、ライフイベントと仕事の両立を図れる環境を提供する事で

経営陣と共に、企業を成長させる一員として社員が独自のスキルを使い活躍してくれることでしょう。

そこで先陣をきって両立支援の取り組みを行っている、企業様の事例からヒントを得られるようインタビューし、ご紹介していきます。



お話を伺った方:


サッポロビール株式会社 

人事部 プランニング・ディレクター

村本 高史(頸部食道がんサバイバー)










サッポロビール株式会社

広報部 広報室

齋藤 寛子











目次

・当事者の想いを大切に一歩ずつ進めるサッポロビールの両立支援

自身の経験を社会に還元する取り組み「いのちを伝える会」

サッポロビール社内のがん経験者のコミュニティCan Stars誕生

カミングアウトしてもしなくても、その人らしく活躍できる環境が大切

日本初!異業種合同ピアサポーター育成研修

これから両立に取り組む個人に向けたメッセージ

両立支援に取り組む企業の方へのメッセージ


当事者の想いを大切に一歩ずつ進めるサッポロビールの

両立支援

ー御社が両立支援の取り組みを始めたきっかけを教えてください

最初のきっかけは、もともと風通しの良い会社だと思っていたのですが、2017年に当社健保組合のとっている数字を見てみると想像以上にがんの治療や、検査を受けている人が多くいるという事がわかったことです。このことから、がんなどの疾病に関して会社が十分な対応が出来ているのか考え、まずは制度内容やステップをわかりやすくまとめた「治療と仕事の両立支援ガイドブック」をつくることになりました。


―それまでは関連の取り組みはされていなかったのでしょうか

「治療と仕事の両立支援」は、「健康経営」の他、「ダイバーシティ」や「働き方改革」に

も関連するものです。実は企業としては「ダイバーシティ」に関して10年ほど前から、徐々に範囲を広げながら取り組みをしていた他、従来の健康関連の取り組みを一層強化すべく、2017年には「サッポログループ健幸創造宣言」を行いました。また「働き方改革」に関しては、コアタイム無のスーパーフレックス制度、時間単位の有休制度、テレワーク制度導入準備を進めていました。

そして2017年、これらを土台として「治療と仕事の両立支援ガイドブック」を作ろうという事になりました。私も自分の経験を通して提案したところ、一緒に制作に関わることになりました。

ー経験者の視点が入れば間違いないですね。御社が真剣に健康経営やダイバーシティ風土醸成に取り組み始めたのはなぜですか

サッポログループには大きな経営目標があり、その経営計画にそって各種取り組みを進めていくのが基本です。しかし、それらを遂行するためにも、やはり社員の健康は大前提なのです。そしてもう一つ、我々はお酒や清涼飲料水、食品などを販売し、人の生活を豊かにするという企業使命があり、我々サッポログループと健康は切っても切れない密接な関わりがあるのです。

ーなるほど。商品イメージにも御社の取り組みはリンクするわけですね。実際企業マターとして取り組んだことで良かった事などはありましたか

法定の健康診断以外の「生活習慣病検診」というのも、健保組合の負担に加えて会社が費用を補助して社員に受診してもらっています。やはり健康経営を進めていくうえでも、これらの取り組みはより強化して行う価値があると思っており、昨年からは「健康経営」の施策を「いのちを守る」、「健康を増進する」、「ちがいを強さにする」の3本柱に整理し、わかりやすく伝えるようにしました。

ーそれはトップの判断も影響しているのでしょうか

サッポロビールの現社長の髙島は、色々な場面でも「健康と安全が第一」と必ず口にしています。「仕事はその次でよいのか」と誤解を招きかねませんが、やはり仕事をきちんとやっていく上でも、「健康や安全を第一にしないと良い仕事はできない」という思いがあり、繰り返し口にしています。そしてその考えを全社員に浸透させるためにも、トップが発信し続ける事は必要だと思っています。


ー髙島社長は治療と仕事の両立支援の取り組みをどうお考えですか


この写真もそうですが、「がんアライアワードに応募したい」と相談したところ、すぐに「やろう!」と言ってくださり、サッポロ黒ラベルのおそろいのTシャツを着て、一緒にがんアライ宣言の写真を撮ってくださいました。本気で応援してくれています。


ートップの理解があるって素晴らしいですね

そうですね。私が厚生労働省が主催した「両立支援セミナー」に登壇してお話をした時、経営者の人達に伝えたかったことは、「経営者の役割は一番大きいです」という事でした。組織の旗振り役として声をあげていただくのは重要だと思います。一方で、よく人事担当者が「経営者の理解が得られない」という事を言っているのも耳にします。私は、それを両立支援を推進できない言い訳に利用して欲しくないと思っています。様々な企業事例がありますが、それらを参考にしながら「想い」をもって経営者の理解を求めるように動いて欲しい。しつこくアプローチして「そんなに言うならやってみろ」と言われるまで何とか粘ってみて欲しいとも思っています。

ー実際理解のない経営者の心を動かすものってなんなんでしょうね。

それぞれの会社の事情や経営者の考え方にもよるでしょう。しかし、他社の取り組みを伝えたり、国や社会全体が取り組んでいる「働き方改革実行計画」の中に「治療と仕事の両立」が入っているという事を伝えるのは大切でしょう。そして人を採用しようとしても採用できない時代が来ています。安定的に雇用を確保するために、今いる社員の安心感を確保し、モチベーションを向上させるのは重要です。その為にも治療と仕事の両立支援が必要な取り組みである事は確かです。したがって、何を言えばいいという事ではなく、自社の実情に照らし合わせて、必要性を認識してもらうというのを、いくつかの観点を持ちながら考えてもらうのがいいでしょうね。

自身の経験を社会に還元する取り組み

「いのちを伝える会」

ー村本さん自身のこれまでの取り組みを教えてください

頸部食道がんの再発で声帯を失う手術をしたのは2011年。そして声帯の代わりに食道を震わせて声にする食道発声教室に通いだし、そこを卒業したのが2014年3月でした。その頃から、その後の自分の人生の目的と使命みたいなものを考えるようになりました。そのうちの1つとして、自分の経験が会社の健康な仲間達にも何かの参考になるのではないかと考え、「いのちを伝える会」を始めました。

最初は、自分が人事として長く企業にいた事もあり、社内の知り合いが沢山いたので、その中で「この人は興味持ってくれるかな」と思い当たった人達に声をかけてスタートしていきました。結果的には600名以上の人に聞いていただく事が出来ています。

(サッポロビール広報室 齋藤様)私自身はがんになったりはしていないのですが、村本さんに声をかけていただき話を聞かせていただきました。来ていた人たちは、自社内でも知らない方も多かったのですが、自分には白血病を発症し若くして亡くなった友人がいました。なんというか、救いではないですが、あの時彼女が何を思い、何を感じていたのかに思いをはせ、それをみなさんと話すことによって新たな考えを気づかせていただきました。とてもいい時間でした。

ー沢山の人に聞いていただいているんですね。それだけの人に聞いてもらえるようになったのはどうしてだったのでしょうか。

活動を始めてしばらくした頃、「これから先どうしようかな」と思った時はありました。その段階で「いのちを伝える会」の話を聞いてくれていたのは50人もまだいないような頃でした。「これで辞めたらただの自己満足で終わってしまう」と思ってさらに続け、本社以外の営業拠点や工場にも行ってみようと考えました。そして自らある営業拠点のトップに連絡をして、「こうした活動をしているんですが、そちらでも開催させてもらえないですか」と働きかけてみたら「是非来てくれ」と言ってもらえたんです。そこからいくつもの拠点をまわり講演を通し、自分の経験を話してきました。お陰様で、感想もいいものを沢山いただき、自分でも少しは社内の仲間や会社に貢献できたかなと思えるようになりました。

ー活動を自ら提案して広げていったのは素晴らしいですね。

自社内だけではなく、社外の人向けにも会を開催し始めて6回ほどやっています。コロナの影響で今はオンライン開催になりましたが、その分遠いところにいらっしゃる方の参加もあり、それはそれでよかったなと思っています。本当は、こちら(サッポロビール本社)で開催して、終わった後は一緒にビールで乾杯したいという気持ちもありますけどね。

ー社外の人達にもピアサポート支援を広げているのもいいですね。どうやって参加者を募っているのですか。

ちょうど2014年から国立がん研究センターの患者・市民パネルに参加していました。そこで知り合った方達や、以前に一緒に仕事をした方達を中心に声をかけて開催していました。最近はまたどんどんサバイバー仲間などの知り合いが増えてきていますので、Facebookなどで開催をお知らせすると、それをみて申し込んでくださる方達も増えました。