株式会社竹徳様 両立支援に対する取り組み
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- 1月23日
- 読了時間: 9分
更新日:5 日前
GHO連載企画 治療と仕事の両立支援に取り組む企業様インタビュー
高齢化社会・女性の社会進出・医療技術の進歩・定年制度の見直し等
企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。
企業を支える社員が安心して、ライフイベントと仕事の両立を図れる環境を提供する事で経営陣と共に、企業を成長させる一員として社員が独自のスキルを使い活躍してくれることでしょう。
そこで先陣をきって両立支援の取り組みを行っている、企業様の事例からヒントを得られるようインタビューし、ご紹介していきます。
お話を伺った方: 株式会社竹徳 取締役総務部長 今井靖様

目次:
株式会社竹徳と今井様について
―事業内容を教えてください
株式会社竹徳は総合建設業の会社です。創業は1905年(明治38年)で120年の歴史があります。全国の発電所内の仮設建築物の施工や首都圏での建築の他に現在では自ら土地を取得しマンション開発を行う不動産開発事業にも進出し成長を図っています。
―どのような社員構成ですか
現在は56名です。平均年齢は47歳、男性42人、女性14人です。50代以上が42%で30代が少ない傾向にあります。これはこの業界共通の構造だと思います。
最近は、新卒が毎年約3名ずつ、中途も数名ずつ採用ができています。また同時に離職率も半減したため、5年前の40名から今の規模に順調に社員数が増えています。
―今井さんが入社された経緯を教えください
私は、大手金融機関で長く仕事をしていたのですが、その後ある建設関係の企業を経て、こちらの会社にご縁があって5年前に総務部長として入社しました。2024年4月には働き方改革が適用されることもあり、その準備や内部体制の充実を図ることなどが大きなミッションでした。
働き方改革の取り組みについて
―最初に今井さんが取り組んだことを教えてください。
建設業界にとって「納期」は最優先。そのための長時間労働の発生はやむを得ないという慣習がありました。そこに時間外45時間の規制がかかったわけです。大きな変化でした。最初に着手したのは労働時間の「見える化」です。勤怠管理システムを導入し、勤務の時間と休暇を正確に把握するようにしました。それにより実態把握ができました。残業が多い社員を所管部の上司と個別にフォローするなど、できることは総務部も率先してサポートしました。
―「見える化」から制度につながったのでしょうか
現場の忙しさは時期によって異なります。また新入社員が採用してから育つまでの時間もあります。「見える化」によって得たデータから、現場に最適な人員配置をしたり、繁忙期を想定して各工期ごとの残業スケジュールを作り、月中にフォローしていくようにしました。また2024年6月から週休2日制の導入を行い、4週8休の勤務体制構築に取り組んでいます。また、現場の技術者、内勤者など職種によって一律の規則では運用が難しいため、それぞれ異なる就労形態を作っています。
なお、これらに当てはまらず、子育てしながら働く方や治療をされながら勤務をされる方には別の就業形態の工夫が必要となります。その際は個別契約などを結んで柔軟に対応できるのは中小企業の良いところだと思います。両立できる方法を個別のケースごとに相談しながら考えていきます。
―柔軟な対応をされているように思いますが、これだけ急な改革を行うと社内の反発などはありませんでしたか?
当初は「休みを増やし残業を制限されたら現場が回らない」と反対する社員もいました。そのため一気に制度化するのではなく、いくつかのプロジェクトで試行的導入をしてもらい、実際に効果を体感してから広く展開をするという手法で無理のない導入を行いました。
誰一人取り残さない健康管理について
―働き方改革と同時に健康管理についても積極的に進められているようですが
全社員に定期健診を義務化し、100%受診を実現しています。ただ、「行きなさい」と言うだけですと受診しない社員も多いので、総務部が健診(検診)の予約を取り業務スケジュールに組み込んでいます。もちろん費用は婦人科検診も含めて会社負担です。
また、二次健診については一次検診結果を産業医に見てもらって、必要な社員については個別に指示をもらいます。総務部からは社員に「行った?」とフォローし「結果を教えてね」と伝えます。社員は忙しいためどうしても二次健診を後回しにしがちです。総務部が精密検査や二次健診をフォローしています。その時だけでなく、日ごろから時々、健康診断の大事さを伝えるなど、社員全員が健康を大事にし、二次健診などの精密検査を受診してもらえる工夫をしています。

―総務部が丁寧にフォローされているのですね。
実は私が入社した年に、社員の健康診断の結果を地域産業センターに初めて見ていただいたのです。そうしたら「この方は本当に危ない」と指摘された社員がいて、結果的に脳梗塞の大きな発作を起こしてしまいました。その後はできる限りのことはしたのですがその方は職場には復帰できなかったのです。もっと早く対策をしていたらこのようなことにはならなかったのではと、強く思いました。
そのため、50名未満のときから産業医と契約し、必要な社員と面談をしてもらうようにしました。今では、社員にとっても産業医が身近になり、体調が悪いなと思ったら、産業医に相談したり病院にいったりする社員もでてきます。このように、早め早めに対応できるようになったことで、病気で離脱する社員は減ったと考えています。産業医はもちろん総務部のメンバーにも感謝しています。
―実際に社員が病気になった場合はどうされていますか。
私が着任してからは、がんになられた社員はお一人だと思いますが、1週間お休みされて治療をし、その後は半日、もしくは一日の休暇を使い分けながら通院治療されていました。
また、治療で年に数回1週間ほどの入院が必要な社員もいます。そのような社員は総務部が治療や体調についてヒヤリングをし、業務に支障のないようにし配置も考えて対応をしています。根底には「社員を一人も取り残さない」という考え方があります。

両立しやすい風土について
―社員が長期に休職されると影響が大きいのではないでしょうか
これは治療との両立ではなく、育児・介護休業の例なのですが、ある建築プロジェクトの要である現場監督の男性から育児休暇取得の申請がありました。その時は、結果的にプロジェクト開始自体を3か月遅らせました。正直にいえば、会社としては苦しい決断でしたが、その社員は「家族との関係がよくなった」と、復帰後も活躍してくれています。このことは社内でも広まり、社員が「安心して働ける会社」ととらえてくれているようです。短期的には負担増ではありましたが、中長期的には協力し合う風土づくりや、人材の定着に寄与しました。
―休みをとりたい、といいやすい雰囲気があるのですね。
そうだと思います。以前の休暇申請は紙で申請し承認を得る方法でしたが今は、自分のPCからすぐできるので申請しやすくなっています。また、働き方改革で休みを取りやすい環境を作れたのも大きいと思います。やはり従業員の「気持ちや意識」に加え会社として仕組みづくりをすることが大事だと思います。ここまで来るのに5年かかったというのが実感です。社員の無駄な負荷、健康の負荷はできる限り削減していきたいと思います。
ブランディングと採用について
―こうした取り組みをもとに様々な認証を獲得されていますね。
健康経営優良法人ブライト500、墨田区の健康経営顕彰制度の横綱の受賞、健康優良企業の金の認定などさまざまな懸賞を取得し、「働きやすい健康な職場」という、当社のブランディングにつなげています。
―理由は何かあるのでしょうか。
働き方や健康に関する取り組みは、現在在籍している社員を守ることはもちろん、採用面においても非常に良い影響をもたらしています。生産年齢人口が減少する中、老若男女や外国籍の方々が労働市場に参加しており、誰もが長く働く時代が到来しています。こうした時代においては、健康を損ない職業寿命を縮めるような働き方を強いる職場は、選ばれなくなってきています。
私たちは、建設という仕事を、安全・安心・健康を維持できる環境の中で、思う存分取り組み、成長してもらえるような職場づくりを目指しています。シニアや女性の方々の事情にも配慮し、それぞれが持つ力を最大限に発揮できるような環境が必要です。また、国籍による差別なく、すべての人が適切で健康的な働き方がを実現できる「共存社会」の実現に向けた職場環境のブランディングが重要だと考えています。
実際に、こうした環境で働きたいと考える求職者は増えており、そのニーズに応えるためにも、職場のブランディングは大事です。
加えて、社員教育への投資や福利厚生の充実にも力を入れています。
中小企業を選ぶ若者の多くは、「働く会社で自分がどれだけ成長できるか」を重視しています。私たちはその期待に応えるべく、一人前の技術者として育成するための研修や教育にも注力しています。
これらの取り組みの結果、毎年3名の新入社員を安定して採用できるようになり、離職率も低下しています。それに伴い、社内の風土も着実に良い方向へと変化しています。

最後に、これから両立支援をしていきたいと考える企業にメッセージをお願いします
少子高齢化の進行により、生産年齢人口は年々減少しています。これからはシニア世代が70歳、さらにはその上の年齢まで働くことが当たり前の時代を迎えようとしています。
一方で、育児や介護と両立しながら働く方、治療を続けながらも社会参加を望む方、子育てを終えて久しぶりに働くことに不安を感じながらも働くことに意欲を持つ方など、働き方の多様化が進んでいます。
人口減少に伴う労働需給ギャップは今後さらに拡大し、人手不足の深刻化が避けられない状況です。生産年齢人口が多く存在し、人手に困らない時代はもう終焉し、長時間労働を一律に強いておこなうやり方は今の働き方の多様化の時代では適切ではありません。
事情のある働く意欲のある人に寄り添い、一人ひとりの事情に応じた柔軟な働き方を支援することが求められます。能力開発の推進やデジタル技術の活用を通じて両立支援を進め、人材の確保と活躍の場を広げていく取り組みこそが、企業の持続的な成長と事業継続の鍵になると考えています。
2025年10月30日
聞き手:がんと働く応援団 野北まどか
文 章:野北まどか
校 正:齋藤宏晃
写 真:株式会社竹徳提供
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