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富士通株式会社 両立支援に対する取り組み

更新日:2020年10月9日


GHO連載企画 治療と仕事の両立支援に取り組む企業様インタビュー

高齢化社会・女性の社会進出・医療技術の進歩・定年制度の見直し等

企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。

企業を支える社員が安心して、ライフイベントと仕事の両立を図れる環境を提供する事で

経営陣と共に、企業を成長させる一員として社員が独自のスキルを使い活躍してくれることでしょう。

そこで先陣をきって両立支援の取り組みを行っている、企業様の事例からヒントを得られるようインタビューし、ご紹介していきます。


生涯に2人に1人ががんを経験し、がん患者の約3分の1が現役世代と言われています。それにもかかわらず、今の大人はがんについての知識、適切な予防の仕方などを学ぶ機会はあまりないのではないでしょうか。一方、子供へのがん教育は進んでいて大人はおいてかれてしまっています。

そのような中で、2020年1月に富士通株式会社が企業としては最大規模の7万人に「がん教育」を実施することを発表され大きな反響を呼びました。その舞台裏と実施状況についてがんと働く応援団がお話をお伺いする機会をいただきました。

富士通株式会社様の取り組み


お話を伺った方:


目次

1.7万人「がん教育」の背景について

2.「がん教育」従業員からの反響について

1.7万人「がん教育」の背景について


Q:この度、「がん教育」を全社員に実施しようとされた背景を教えていただけますでしょうか?

A:富士通はグループ全体で2017年から健康経営に取り組んでいまして、富士通株式会社では4期連続ホワイト500の認定を受けています。具体的には、生活習慣病対策や喫煙対策などの重点施策を5つ決めて取り組んでおり、がん対策はその重点施策の1つに位置付けられています。

富士通グループでは今後、社員の年齢があがり女性の活用も高まっていくことが予想されます。年齢があがるとともにがんの罹(り)患率は高まりますし、30-40代は女性の罹患率が男性よりも高いことを考えると、全体的にがんの罹患者が増えてくることは明らかでした。対策としては、検診率の向上、治療と就労の両立支援、生活習慣の改善の3つが必要です。

従来から検診の制度や両立支援のサポート体制などは整えてきていましたが、更なる行動変容を促すには、社員の意識も変えていく必要があると考えていました。

Q:この導入にあたり、工夫したことは何ですか?

A:企業として取り組む以上、具体的なデータを提示しての説明を重視しました。社内の罹患者数の経年の動き、死亡者数、年齢別の罹患率、そして早期発見による治療費の変化(②ご確認)。このような資料を用意することで、社員が教育の実施理由を理解し納得感をもって受講することにつなげられたと考えています。

Q:具体的な「がん教育」のプログラムについて教えてください

A:まず、今回の研修プログラムを監修いただきました東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授に健康セミナーを開催いただき、全グループ会社の国内事業所にリアルタイム配信をすることで動機付けをいたしました。この講義の反応は大変良好で、参加者の98%が新しい知識を得たとし、93%が検診の受診や生活習慣の改善などの行動を変えるというアンケート結果が得られました。

その後、e-ラーニングという形で国内グループ会社社員7万人に配信をしています。e-ラーニングは約40分で「がんの基礎知識」「がん予防につながる生活習慣」「早期発見・早期治療のためのがんの検診の重要性」などのプログラムとなっています。幹部社員には「仕事と治療の両立支援」といった内容も受講してもらっています。

セミナー風景

2.「がん教育」従業員からの反響について

Q:受講の反響はいかがでしょうか?

A:実は富士通本体の社員の受講率は90%を超えています。しかも大変有意義だったというコメントをたくさんもらいました。特に、家族や身近な人にもこの内容を知らせたいという要望もあり、会社として用意しているe-ラーニングのコンテンツとしては人気が高いものになりました。

実際、受講前にがんについての基礎知識を確認したのですが「入院しないでも治療ができる」「早期がんであれば9割以上が完治する」といったことを確実に理解している社員は非常に限られていました。そのため研修を受講して得られたものは大きかったのではないかと思います。

Q:それは素晴らしいですね。取り組みのポイントがあれば教えてください。

A:今回のテーマでもある「働く世代のがん教育」は日本全体の課題であり、富士通の取り組みが良い影響につながればと思い、積極的に情報発信し多くのメディアにとりあげられることができました。そのことも社員の興味を喚起することにつながったのではないかと思います。また、今回は、e-ラーニング→がん検診(健康診断)と具体的なアクションが明確だったことも参加意欲を高めることにつながったのではないかと思っております。

Q:今後についての方針を教えていただけますか?

A:富士通の健康管理の取り組みは1940年代の結核対策を実施していたころからの長い歴史があり文化として根付いているものだと考えています。これからも他のテーマに広げて実施していくことになると思っています。また、今回のe-ラーニングの教材は「がん対策推進企業アクション」を通じて公開する予定です。1社でも多くの企業の方にご利用いただくことでがん対策の取り組みの実施につながれば大変嬉しく思います。

東さま、加藤さま、貴重なお話ありがとうございました。

編集後記:

がんについて学ぼうとすると、TVやインターネットではさまざまな情報があふれ、医師が書いた本でも信用ができないものもあるなど、何を手にとればいいのかわからないのが現状だと思います。そういった中、富士通さまの取り組みは、企業から信頼のできる情報を社員に届けることができる素晴らしいものだと思います。

私事で恐縮ですが、乳がんの罹患ピーク年齢にがん検診をスキップしてしまい、進行した乳がんが後から見つかった私としては、こういった情報を一人でも多くの現役世代が受けとり、罹患リスクを下げると同時に早期発見で治療ができることは本当に意義深いと思っております。

今回の研修は社員のみなさまからも好評だったとのこと。今後、様々な職場でコンプライアンスやITセキュリティといった研修と同じように、こういった健康に対する知識が社会人の必須の研修として広まっていくことを強く願っております。

2020年6月4日

聞き手:がんと働く応援団 吉田ゆり、野北まどか

富士通さまの取り組みのご紹介はいかがだったでしょうか。

ぜひご意見をお知らせください


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