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がん防災マニュアル:制作秘話④  デザイナー 望月ミサさん(上)

更新日:2021年8月2日

このシリーズはがん防災マニュアルの制作に携わったメンバーのご紹介と思い入れについてご紹介するシリーズです。第四回目はデザイナーの望月さんです。がん防災マニュアルのデザインとイラストを担当し、サバイバーとしての立場からの提案もしてくださいました。望月さんががんで失ったものと得たもの、そしてがん防災に込めた思いとは?



1.「美しいものをあきらめない」デザイナー望月さんががん防災活動に関わったきっかけ


野北(以下、N):がん防災マニュアルは、がんになっていない方にもわかりやすくする、ということが大きな課題だったのですが、望月さんのおかげで実現できました。望月さんに出会えたのは、ほんとうにラッキーだったと思っています。まず、ご自身のことをお教えください。


望月さん(以下、M):私だってラッキーだと思っています。このマニュアル制作がきっかけで、新しいことにチャレンジできています。いまや、がん関係のことは「私がやらずして誰がやる!」みたいな勢いになってきました(笑)。

私は49歳で「卵管がん」って珍しい種類のがんに罹りまして、「生かされた」という思いを持っています。発見が遅れやすいので治らないと思われているがんなんですが‥‥。


N:どうやって発覚したのですか?

M:子宮筋腫だったんです。筋腫の経過観察中に卵巣腫瘍がみつかって、卵巣腫瘍を取ったら、卵管にがんがあった、という逆わらしべ長者みたいな形でした。治療中は早期がんと分かってたので「がん関係の仲間をつくらず」「はやくがんを忘れて元に戻りたい!」という気持ちだけでした。治療で元の生活を“奪われた”という気持ちが強かったんですね。コロナ禍の皆さんも同じかと思うんですが「早く元どおりに!」「旅行にいきたい!」みたいな感じですね。

ただ、治療が終わるころに、ピアリング(女性特有がんのSNSコミュニティ)代表の上田さんと友達の紹介で知り合って、いざがんを経験した友達ができると語り合えて楽しかったんです。そして、あんなに元の生活に戻りたいと思っていましたが、元の生活って基本ないんですよ。失ったものは戻らなくて元通りはないんですよね。


でも同時に得たものもあることに、気づいたんですよ。“体験”ですね。それは生かさないともったいない! という気持ちで、その体験を伝える中で、人前で話すことが好きで、文章を書くのも好きだというのを発見しました。「伝えたい事がある」って大きいですよね。今度は「上手に言えるようになりたい」となって、新しい人生のネタが見つかったみたいに思ってます。

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