がん防災マニュアル:制作秘話④  デザイナー 望月ミサさん(上)

更新日:8月2日

このシリーズはがん防災マニュアルの制作に携わったメンバーのご紹介と思い入れについてご紹介するシリーズです。第四回目はデザイナーの望月さんです。がん防災マニュアルのデザインとイラストを担当し、サバイバーとしての立場からの提案もしてくださいました。望月さんががんで失ったものと得たもの、そしてがん防災に込めた思いとは?



1.「美しいものをあきらめない」デザイナー望月さんががん防災活動に関わったきっかけ


野北(以下、N):がん防災マニュアルは、がんになっていない方にもわかりやすくする、ということが大きな課題だったのですが、望月さんのおかげで実現できました。望月さんに出会えたのは、ほんとうにラッキーだったと思っています。まず、ご自身のことをお教えください。


望月さん(以下、M):私だってラッキーだと思っています。このマニュアル制作がきっかけで、新しいことにチャレンジできています。いまや、がん関係のことは「私がやらずして誰がやる!」みたいな勢いになってきました(笑)。

私は49歳で「卵管がん」って珍しい種類のがんに罹りまして、「生かされた」という思いを持っています。発見が遅れやすいので治らないと思われているがんなんですが‥‥。


N:どうやって発覚したのですか?

M:子宮筋腫だったんです。筋腫の経過観察中に卵巣腫瘍がみつかって、卵巣腫瘍を取ったら、卵管にがんがあった、という逆わらしべ長者みたいな形でした。治療中は早期がんと分かってたので「がん関係の仲間をつくらず」「はやくがんを忘れて元に戻りたい!」という気持ちだけでした。治療で元の生活を“奪われた”という気持ちが強かったんですね。コロナ禍の皆さんも同じかと思うんですが「早く元どおりに!」「旅行にいきたい!」みたいな感じですね。

ただ、治療が終わるころに、ピアリング(女性特有がんのSNSコミュニティ)代表の上田さんと友達の紹介で知り合って、いざがんを経験した友達ができると語り合えて楽しかったんです。そして、あんなに元の生活に戻りたいと思っていましたが、元の生活って基本ないんですよ。失ったものは戻らなくて元通りはないんですよね。


でも同時に得たものもあることに、気づいたんですよ。“体験”ですね。それは生かさないともったいない! という気持ちで、その体験を伝える中で、人前で話すことが好きで、文章を書くのも好きだというのを発見しました。「伝えたい事がある」って大きいですよね。今度は「上手に言えるようになりたい」となって、新しい人生のネタが見つかったみたいに思ってます。

ただ、がんの治療をしたところで、さすがにがんは仕事(デザイン)には関係ないよね、と思っていましたが、意外とあるんですよ。がん関係のお仕事も増えました。「がん経験がある人へデザインを頼みたい」という需要があるんです。その場合はデザインもするけど編集会議で内容自体の議論にも加わります。今回もそういう形で参加できて良かったです。



2.がん経験後のお仕事を通じて見えてきたこと