株式会社ノヴィータ様 両立支援に対する取り組み

GHO連載企画 治療と仕事の両立支援に取り組む企業様インタビュー

高齢化社会・女性の社会進出・医療技術の進歩・定年制度の見直し等

企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。

企業を支える社員が安心して、ライフイベントと仕事の両立を図れる環境を提供する事で

経営陣と共に、企業を成長させる一員として社員が独自のスキルを使い活躍してくれることでしょう。

そこで先陣をきって両立支援の取り組みを行っている、企業様の事例からヒントを得られるようインタビューし、ご紹介していきます。



お話を伺った方:


株式会社ノヴィータ

代表取締役社長

三好 怜子様 

取締役/クリエイティブ部部長

川村 育夫様

経営企画室 労務担当

長山 裕美様


経営企画室 広報

中根 範子様

デザイナー

Y様

卵巣がんサバイバー&ストーマユーザー



目次

・ノヴィータについて

・ライフイベントに合わせて働き方を選択する

・柔軟な制度を入れるメリットとデメリット

・柔軟な勤務形態を可能にする日々の作業ログ

・想いだけでは柔軟な制度の運用はできない

・がん治療と仕事を両立するYさんの話

・ライフイベントと仕事の両立を行う人へのメッセージ

・両立支援に取り組む企業の担当者様へのアドバイス

・ノヴィータの社会に伝えたいメッセージ


ノヴィータについて


(人事広報中根様)2006年に設立しました。マーケティングの視点に基づいたクリエイティブ制作でお客様の課題解決する「ウェブプロダクションの皮を被ったソリューションカンパニー」です。自社内での課題解決をした経験から、デジタルマーケティング支援、組織づくり支援、経営企画支援、働くママに関する各種支援を中小企業向けに提供もしています。他に「LAXIC(ラシク)」という働くママ向けのWEBメディアで、「ライフイベントなどで環境が変化し、時間や場所に制限があっても働き続ける」ことについて情報発信し、そんな働き方をしたいママと、雇用形態や条件に関わらず優秀な人材を採用したい企業との人材マッチングも展開中。その取り組みが評価され、兵庫県豊岡市とITを使った地域の人材活用の仕組みを構築する事業にも繋がっています。


ー社員構成について教えていただけますか


(人事広報中根様)社員は36名いて平均35歳、男女比は3:7。そのうち既婚者は7割で育児をしている社員は5割程度ですね。さらには、本社にいたけれども家庭の事情で地方へ引っ越し、リモートで働く社員は4名、その他も入れると地方で働く社員は全員で10名程います。当社の大きな特徴として10種類以上の勤務形態があります。現在17名がそうしたオリジナル勤務形態を利用して働いています。


ライフイベントに合わせて働き方を選択する


(三好社長)大切な社員に働き続けて貰うためには仕組みを作る必要があります。例えば、社員から地方に行くと相談があった際、私は「辞めて欲しくない、ではどうしたらいんだろう?やれる方法を考えよう!」そう思いました。そして本人の気持ちや事情を考慮し、働き続けられる環境を考えた結果、リモートワーク社員という新たな働き方が誕生しました。そして、前例があるからまたその働き方を選択する人が出てきて、それを受容する風土が作られてという変革が当社で起きています。このように私たちは、型から作るのではなく、働く社員を中心に考え制度設計をしています。私自身も子供を産み、働きつづける時色々な壁にぶつかり、新たな働き方が出来る職場の必要性を痛感しました。当事者になる事で、働き方の選択肢を用意し、選べるようにするのがいいと当事者目線で思いました。


(社員に向け、働き方について話す三好社長)


ー働き方に柔軟性を持たせる制度を会社に導入する時どうされましたか


(三好社長&長山様)導入し始めた当初は完全オーダーメイド的な働き方をサポートする為の制度が増えていき、管理が複雑になった時もありました。しかし多様なケースに対応する制度を実際に導入・運用する事で得たものがあります。具体的には、社会保険/雇用保険加入の有無、家族がいるか、扶養しているお子さんがいるか等で変わる労務手続きを理解し、比較的多いパターンのものは「型化」して運用する今の形の基盤を作り上げる事に繋がりました。


ーこれらの新たな制度設計は社内のメンバ―だけで作られているのでしょうか


(三好社長)創業5年目から伴走してくださっている監査役の行政書士がサポートしてくださっています。一般的な知見や、他社事例も考慮したうえでノヴィータはどうあるべきか、第三者の目線で意見をくださることが多いです。日々変化する制度設計に関して相談した際も、「どうやって制度化しますかね、ちょっと調べます」と柔軟な姿勢で色々調べてくださいます。我々の取組はあまり前例がないので、労働基準監督署も良し悪し判断つかない事例もあります。したがって、我々は新たな制度を運用する時は小さく始め、問題がない事が確認出来たら、他にも広げていくやり方で最適な働く環境を作っていっています。


柔軟な制度を入れるメリットとデメリット


(三好社長)デメリットらしいものをしいて言えば、結局ケースごとに検討・検証しながら導入するので、どうしても初動には時間、労力がかかります。しかし、労力を理由に制度導入を見送るケースはほとんどありません。この大変さは、メリットに直結しているんですね。「働き続けたい」と言ってくれる多様なライフイベントに直面する従業員に働き続けてもらえる環境を提供していける。それであれば、多少大変であってもやるべきだと思います。情報収集、仕組み作り、運用等を各メンバーの得意分野を中心に役割分担しながら取り組めれば、最大限の選択肢や情報を組織体として従業員に提供できます。それは組織だからこそできる強みであり醍醐味だと思っています。正直デメリットはあまり感じていません。


ー制度を柔軟に運用する体制は最小何人で出来そうですか


(三好社長)経営者が全体を見ながら、労務管理を担うのは難しいと思います。やはり、現場を見る細かい視点をもち、実行する力を持った人が必要です。なので最小2人かと思います。決める人(決裁者)、動かす人(運用者)がいれば出来ます。そこに、それぞれ強みを持ったメンバーが入っていく事でより盤石な制度運用チームになっていきます。すると、目の前のケースに対応するだけではなく、汎用性を生かした制度作りが加速化されていく。ぜひ、信頼して制度運用を任せられる人と共にやっていただきたいです。


ー現在御社は何人体制で制度を運用していますか。


(三好社長&中根様)制度としては、決済権を持つ代表と部門長、実務担当1名です。制度運用とは別のところで、社員で困りごとがある人はいないか、コミュニケーションが円滑に取れているか等、社内の空気にアンテナを張り、情報収集して意見を吸い上げる人が多い文化なのが制度活用を助けていますね。社内アンケートを取る機会も多いですが、結構率直な意見が出てくるのも特徴です。人事広報担当はその土壌がさらに育つ仕組みづくりをしたり、中長期目線で何か組織として手を打つ必要がありそうなものを上に進言し、問題解決を図ったりなどのサポートをしています。


(三好社長(写真中央)、長山様(写真右))


ー御社で今取り組むべき課題として考えているものはありますか


(川村様&三好社長)当事者がアクションを起こして制度を作る等、組織としての取り組みが始まる事が多いのですが、オンリーワンな対応をした場合、これを会社の制度としてどのように落とし込んでいくかというのは課題かと思っています。働きやすい環境づくりの一環として、がん治療と仕事の両立を可能にするための制度を導入しましたが、相談してきてくれたYさんのケースを想定しているためそれが2例目、同じように適用できるのかはまだ不明です。とはいえ、やってみて難しいようでしたらまたアップデートしていけばいい、そうしたスタンスで制度を運用していくのもいいと思うのです。変化させていくにしても、確実に前例があるというのは良いと考えます。実際それらの制度を活用して活躍するYさんという存在は誰かのモデルケースになりますし、場合によっては次の制度を考える時、当事者目線での具体的な意見をもらう事もできますからね。


ー実際ライフイベントと仕事の両立を可能にする制度とはどんなものなのでしょうか


(三好社長)私たちの場合、一番にあげられるのはフルタイムだけではない柔軟性のある雇用形態だと思います。下は48時間から上は160時間まで、大体10種類近いパターンがあり、本人の希望やライフスタイルを聞いて、それらに「在宅」「時短勤務」などの就労条件をパズルのピースを合わせるようにして提案できます。選択肢を要望に近い形で「見える化」し、本人が働き方をチョイスする事が出来るようになっています。当社ではフルタイム勤務の社員が育児以外で時短社員になる事も珍しくありません。例えば転居して実家を手伝いながらこちらの仕事をやりたいと相談してきた社員もいます。自社での勤務時間を増やす以外の選択肢をとっている人もいますね。短い場合では3か月ごとに雇用形態も見直していきますので、本人の要望でフルタイムに戻りたいといった場合はそれも可能です。通常、契約内容を1年で見直す所が多いのですが、1年は長すぎますね、特に育児をするママにとって、日々の状況はどんどん変わっていきますから。


柔軟な勤務形態を可能にする日々の作業ログ


ー柔軟な働き方を可能にするために取り組んでいる事はありますか


(三好社長)誰がが誰かの仕事を引き継いで回していくというのは頻繁に起きています。それを可能にするためには業務や本人の事を把握するというのが重要だと思っていて、毎日稼働管理票(作業ログ)をつけています。これがある事で、誰かが休んでもすぐ仕事の状況はわかるようになっています。川村がそうした仕組みを作り、全社員がレコードをつけるようになっています。


ー仕事の可視化がされているんですね


(川村様)本来は当社のサービスを時間換算にして、適正価格でプロダクトを提供する為に

設計し導入しました。副産物として、各メンバーがどの工程に、どの位の時間がかかるのかが見えるようになりました。そして全体を慣らして見る事で、作業時間のスタンダートも把握出来るようになりました。この情報があれば、誰かが休みに入っても、スキルや作業時間を考慮して他のメンバーに任せられるのです。当社のような柔軟な働き方を推奨する上では、この仕事の引継ぎのしやすさが肝で、作業情報を残して、いつでも他の人が参照できるようにするのが重要です。


ーログを全員に残してもらうのも大変ではありませんでしたか


(川村様)スタンダードになるまではそれなりの時間がかかりました。入力に慣れないとログをつけるのにも時間がかかります。「その分、仕事した方がいいのではないか」という声もありましたが、「つけ続けるからこそ振り返ると分かるものがある」と言い続けました。さらにいうと稼働管理は、本人の為にもなります。例えば独立して働くとなった時も