株式会社ノヴィータ様 両立支援に対する取り組み

GHO連載企画 治療と仕事の両立支援に取り組む企業様インタビュー

高齢化社会・女性の社会進出・医療技術の進歩・定年制度の見直し等

企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。

企業を支える社員が安心して、ライフイベントと仕事の両立を図れる環境を提供する事で

経営陣と共に、企業を成長させる一員として社員が独自のスキルを使い活躍してくれることでしょう。

そこで先陣をきって両立支援の取り組みを行っている、企業様の事例からヒントを得られるようインタビューし、ご紹介していきます。



お話を伺った方:


株式会社ノヴィータ

代表取締役社長

三好 怜子様 

取締役/クリエイティブ部部長

川村 育夫様

経営企画室 労務担当

長山 裕美様


経営企画室 広報

中根 範子様

デザイナー

Y様

卵巣がんサバイバー&ストーマユーザー



目次

・ノヴィータについて

・ライフイベントに合わせて働き方を選択する

・柔軟な制度を入れるメリットとデメリット

・柔軟な勤務形態を可能にする日々の作業ログ

・想いだけでは柔軟な制度の運用はできない

・がん治療と仕事を両立するYさんの話

・ライフイベントと仕事の両立を行う人へのメッセージ

・両立支援に取り組む企業の担当者様へのアドバイス

・ノヴィータの社会に伝えたいメッセージ


ノヴィータについて


(人事広報中根様)2006年に設立しました。マーケティングの視点に基づいたクリエイティブ制作でお客様の課題解決する「ウェブプロダクションの皮を被ったソリューションカンパニー」です。自社内での課題解決をした経験から、デジタルマーケティング支援、組織づくり支援、経営企画支援、働くママに関する各種支援を中小企業向けに提供もしています。他に「LAXIC(ラシク)」という働くママ向けのWEBメディアで、「ライフイベントなどで環境が変化し、時間や場所に制限があっても働き続ける」ことについて情報発信し、そんな働き方をしたいママと、雇用形態や条件に関わらず優秀な人材を採用したい企業との人材マッチングも展開中。その取り組みが評価され、兵庫県豊岡市とITを使った地域の人材活用の仕組みを構築する事業にも繋がっています。


ー社員構成について教えていただけますか


(人事広報中根様)社員は36名いて平均35歳、男女比は3:7。そのうち既婚者は7割で育児をしている社員は5割程度ですね。さらには、本社にいたけれども家庭の事情で地方へ引っ越し、リモートで働く社員は4名、その他も入れると地方で働く社員は全員で10名程います。当社の大きな特徴として10種類以上の勤務形態があります。現在17名がそうしたオリジナル勤務形態を利用して働いています。


ライフイベントに合わせて働き方を選択する


(三好社長)大切な社員に働き続けて貰うためには仕組みを作る必要があります。例えば、社員から地方に行くと相談があった際、私は「辞めて欲しくない、ではどうしたらいんだろう?やれる方法を考えよう!」そう思いました。そして本人の気持ちや事情を考慮し、働き続けられる環境を考えた結果、リモートワーク社員という新たな働き方が誕生しました。そして、前例があるからまたその働き方を選択する人が出てきて、それを受容する風土が作られてという変革が当社で起きています。このように私たちは、型から作るのではなく、働く社員を中心に考え制度設計をしています。私自身も子供を産み、働きつづける時色々な壁にぶつかり、新たな働き方が出来る職場の必要性を痛感しました。当事者になる事で、働き方の選択肢を用意し、選べるようにするのがいいと当事者目線で思いました。


(社員に向け、働き方について話す三好社長)


ー働き方に柔軟性を持たせる制度を会社に導入する時どうされましたか


(三好社長&長山様)導入し始めた当初は完全オーダーメイド的な働き方をサポートする為の制度が増えていき、管理が複雑になった時もありました。しかし多様なケースに対応する制度を実際に導入・運用する事で得たものがあります。具体的には、社会保険/雇用保険加入の有無、家族がいるか、扶養しているお子さんがいるか等で変わる労務手続きを理解し、比較的多いパターンのものは「型化」して運用する今の形の基盤を作り上げる事に繋がりました。


ーこれらの新たな制度設計は社内のメンバ―だけで作られているのでしょうか


(三好社長)創業5年目から伴走してくださっている監査役の行政書士がサポートしてくださっています。一般的な知見や、他社事例も考慮したうえでノヴィータはどうあるべきか、第三者の目線で意見をくださることが多いです。日々変化する制度設計に関して相談した際も、「どうやって制度化しますかね、ちょっと調べます」と柔軟な姿勢で色々調べてくださいます。我々の取組はあまり前例がないので、労働基準監督署も良し悪し判断つかない事例もあります。したがって、我々は新たな制度を運用する時は小さく始め、問題がない事が確認出来たら、他にも広げていくやり方で最適な働く環境を作っていっています。


柔軟な制度を入れるメリットとデメリット


(三好社長)デメリットらしいものをしいて言えば、結局ケースごとに検討・検証しながら導入するので、どうしても初動には時間、労力がかかります。しかし、労力を理由に制度導入を見送るケースはほとんどありません。この大変さは、メリットに直結しているんですね。「働き続けたい」と言ってくれる多様なライフイベントに直面する従業員に働き続けてもらえる環境を提供していける。それであれば、多少大変であってもやるべきだと思います。情報収集、仕組み作り、運用等を各メンバーの得意分野を中心に役割分担しながら取り組めれば、最大限の選択肢や情報を組織体として従業員に提供できます。それは組織だからこそできる強みであり醍醐味だと思っています。正直デメリットはあまり感じていません。


ー制度を柔軟に運用する体制は最小何人で出来そうですか


(三好社長)経営者が全体を見ながら、労務管理を担うのは難しいと思います。やはり、現場を見る細かい視点をもち、実行する力を持った人が必要です。なので最小2人かと思います。決める人(決裁者)、動かす人(運用者)がいれば出来ます。そこに、それぞれ強みを持ったメンバーが入っていく事でより盤石な制度運用チームになっていきます。すると、目の前のケースに対応するだけではなく、汎用性を生かした制度作りが加速化されていく。ぜひ、信頼して制度運用を任せられる人と共にやっていただきたいです。


ー現在御社は何人体制で制度を運用していますか。


(三好社長&中根様)制度としては、決済権を持つ代表と部門長、実務担当1名です。制度運用とは別のところで、社員で困りごとがある人はいないか、コミュニケーションが円滑に取れているか等、社内の空気にアンテナを張り、情報収集して意見を吸い上げる人が多い文化なのが制度活用を助けていますね。社内アンケートを取る機会も多いですが、結構率直な意見が出てくるのも特徴です。人事広報担当はその土壌がさらに育つ仕組みづくりをしたり、中長期目線で何か組織として手を打つ必要がありそうなものを上に進言し、問題解決を図ったりなどのサポートをしています。


(三好社長(写真中央)、長山様(写真右))


ー御社で今取り組むべき課題として考えているものはありますか


(川村様&三好社長)当事者がアクションを起こして制度を作る等、組織としての取り組みが始まる事が多いのですが、オンリーワンな対応をした場合、これを会社の制度としてどのように落とし込んでいくかというのは課題かと思っています。働きやすい環境づくりの一環として、がん治療と仕事の両立を可能にするための制度を導入しましたが、相談してきてくれたYさんのケースを想定しているためそれが2例目、同じように適用できるのかはまだ不明です。とはいえ、やってみて難しいようでしたらまたアップデートしていけばいい、そうしたスタンスで制度を運用していくのもいいと思うのです。変化させていくにしても、確実に前例があるというのは良いと考えます。実際それらの制度を活用して活躍するYさんという存在は誰かのモデルケースになりますし、場合によっては次の制度を考える時、当事者目線での具体的な意見をもらう事もできますからね。


ー実際ライフイベントと仕事の両立を可能にする制度とはどんなものなのでしょうか


(三好社長)私たちの場合、一番にあげられるのはフルタイムだけではない柔軟性のある雇用形態だと思います。下は48時間から上は160時間まで、大体10種類近いパターンがあり、本人の希望やライフスタイルを聞いて、それらに「在宅」「時短勤務」などの就労条件をパズルのピースを合わせるようにして提案できます。選択肢を要望に近い形で「見える化」し、本人が働き方をチョイスする事が出来るようになっています。当社ではフルタイム勤務の社員が育児以外で時短社員になる事も珍しくありません。例えば転居して実家を手伝いながらこちらの仕事をやりたいと相談してきた社員もいます。自社での勤務時間を増やす以外の選択肢をとっている人もいますね。短い場合では3か月ごとに雇用形態も見直していきますので、本人の要望でフルタイムに戻りたいといった場合はそれも可能です。通常、契約内容を1年で見直す所が多いのですが、1年は長すぎますね、特に育児をするママにとって、日々の状況はどんどん変わっていきますから。


柔軟な勤務形態を可能にする日々の作業ログ


ー柔軟な働き方を可能にするために取り組んでいる事はありますか


(三好社長)誰がが誰かの仕事を引き継いで回していくというのは頻繁に起きています。それを可能にするためには業務や本人の事を把握するというのが重要だと思っていて、毎日稼働管理票(作業ログ)をつけています。これがある事で、誰かが休んでもすぐ仕事の状況はわかるようになっています。川村がそうした仕組みを作り、全社員がレコードをつけるようになっています。


ー仕事の可視化がされているんですね


(川村様)本来は当社のサービスを時間換算にして、適正価格でプロダクトを提供する為に

設計し導入しました。副産物として、各メンバーがどの工程に、どの位の時間がかかるのかが見えるようになりました。そして全体を慣らして見る事で、作業時間のスタンダートも把握出来るようになりました。この情報があれば、誰かが休みに入っても、スキルや作業時間を考慮して他のメンバーに任せられるのです。当社のような柔軟な働き方を推奨する上では、この仕事の引継ぎのしやすさが肝で、作業情報を残して、いつでも他の人が参照できるようにするのが重要です。


ーログを全員に残してもらうのも大変ではありませんでしたか


(川村様)スタンダードになるまではそれなりの時間がかかりました。入力に慣れないとログをつけるのにも時間がかかります。「その分、仕事した方がいいのではないか」という声もありましたが、「つけ続けるからこそ振り返ると分かるものがある」と言い続けました。さらにいうと稼働管理は、本人の為にもなります。例えば独立して働くとなった時も、自分の時間をコントロールするのに必要な、作業時間を把握する能力が身についていると思うのです。特にデザイナー職は、持っている時間すべてを使って作品を作る人もいます。そうではなく、時間をコントロールして余暇を作り、勉強する等上手に自分の時間を使ってもらいたいと思っています。


想いだけでは柔軟な制度の運用はできない


―運用を担当されている長山さんは、この制度運用についてどう思いますか


(労務担当長山様)最初は大変でした。この複雑な仕組みを運用するにあたり、役員を含め沢山のメンバーが携わっています。「副業したい」という声が出れば副業規定を作ったり、公平かつスムーズな産育休の取得が出来るよう、フローや社員説明ドキュメントを整えました。しかし、緩急は必要ですので、「より長く働いてくださる方にどう還元するか、反対に入社してすぐの方に魅力的に映るようにするには何が必要か」等、そうした事をマトリクスに落とし込み、数年がかりで設計し運用しています。その結果、大きな病気をした仲間が治療と仕事を両立して活躍しつづけているのを見ると、苦労した甲斐があったと思っています。


(三好社長)Yさんのように「病気を経験したけどノヴィータで働き続けたい」という想いがある、それを上司が「サポートしたい」という想いがある。その想いが声として上がってきた時、私は「どうやったら実現できるか」を模索し始めるのですが、実際思いだけでは制度導入はもちろん、運用も出来ません。運用をしっかりしてくれる人がいると分かっているからこそ出来ている事だと思っています。

ー柔軟な働き方を取り入れたのは個人の声があっての事とおっしゃっていましたが、個人は自分の声を発信しやすい職場なのでしょうか。


(三好社長)8年前から人が増え、より積極的に社員の声を聞く機会として、業務とは切り離して全社員が集まり、普段とは違うメンバー同士でグループワークを行うことを年2回やっています。こうした仕事以外の場で話すというのは、自分が考えている事を他の社員に伝えるきっかけになるだけでなく、人となりを知ってもらう機会にもなります。社員全員が全員を知る事が難しくても、誰かがなんとなく知っている状況を作り、必要な時知っている人が情報を伝えサポートし合える環境作りに役立っていると思います。


(他部門のメンバーと打ち合わせをする川村様(写真右))


ーどんなテーマについて話すのですか


(三好社長)毎回テーマを変えて開催しているのですが、社員から「在宅勤務がしたい」という本音が聞けた時がありました。その時は、「人生の目標を掲げよう」というテーマでのディスカッションでした。事前ワークをしてきてもらい、自分にとっての仕事や人生について、自身が立てた目標の振り返りを他の人とシェアしてもらう内容でした。「なぜ会社でそんなことするの?」と思われる方もいるかと思いますが、自分の行動や人生の目標を見る機会を持ってもらいたいという想いもありました。


ー売上とは直結しない時間を設ける事に関してはどう考えていますか


(三好社長)社員が増え続けていく中、隣の人が何をやっているかわからない環境が生まれやすくなっています。しかし、隣同士、情報共有する事で一緒にやれる事、サポートしあえる事があるのではないかと思っています。なので私自身も週1回必ず社員と話す機会があり、月1の会議はパートを含む全社員と顔を合わせられるように日中の時間に組み込んでいます。そして外部のパートナーも含めて行う年2回の会は、集中して出来るように土日を使って開催し、振出・振休制度を活用しています。これらの時間は短期的に売り上げに直結する業務ではありませんが、業務を円滑に行う為の大切な時間だと思います。


がん治療と仕事を両立するYさんの話


(デザイナーYさん)私は新卒として入社したので、これが当たり前だと思っていました。他のがん経験者から他社の対応を聞き「ノヴィータはすごい取り組みをしている会社だった」という事に気づきました。そうした環境もあり「もうやめよう」、「心、挫折する」という事もなく、ここまで続けられてこれました。治療中も色紙をいただいて、「復職を楽しみにしている、また一緒に働きたい」と書いてくれた人がいました。それを読み、私も「治療をがんばって早く復職したい!」と思えました。また、上司の川村から「病気になったことはただの事実で、良いも悪いも無い」という言葉をもらい、病気に対する考え方が変わりました。「がんであることに引目を感じなくてもいい」と思え、それから病気に関してネガティブな感情は持たなくなりました。具体的に助かった事として、保険組合関連の書類(高額医療制度、傷病手当書類)等の情報をまとめてくださったり、プライベートに関わる悩みにも親身に寄り添ってくださったのは本当に助かりました。


ーがんが見つかった時会社に伝える決断はどうやってしたのですか


(デザイナーYさん)卵巣がんが発覚した時、すぐに入院が必要という話になったので「隠す」という選択肢が浮かぶこともなく、上司だった川村にすぐ相談しました。なので、他の方の話を聞いて、逆に「会社に言わない(言えない)パターンもあるのか」と驚きました。


ー川村様は突然のYさんの相談にどう思われましたか


(川村様)ものすごく驚きましたね。「体調が悪くて早退します」というところから始まり、「検査に行ってきます」となったんです。本人もすぐにがんとは言いませんし、症状だけ聞いて、自分なりにWEBで情報を検索して「これはもしかしたら、大きな病気かもしれない」と思いましたね。しかし、当初はがんであるとは想像もしていなかったです。


ーそうした状況でがんと伝えられ、退職や休職という選択肢は考えましたか


(川村様)辞めさせるという選択肢は全く思いつきませんでしたね。逆に「どうしたら良い結果になるのか」と考え始め、WEBで調べました。仕事柄「インターネットで調べればおおよそ必要な情報は点在しながらも入手できる」と知っていましたので、周囲と共有できるように必要な作業や手順等リストにまとめました。上司として、Yさんの性格もよく把握してました。一番重要視したのは、自分がYさんの上司としてYさんにどういう事をやってあげるのかということです。それ以外はその他の人を信頼して任せました。


ー三好社長はYさんの件を聞いた時どう思いましたか


(三好社長)率直に言って驚きました。以前から「30歳を超えたら女性は何かしらあるから女性検診しておいた方が良いよ」と言っていたのですが、Yさんはまだ20代。「もう少し早く気付かせることができたんじゃないか」と申し訳なく思う反面、頭を切り替えて「次どうしなきゃいけないのか」を考えました。川村が作ってくれたリストを見ながらやる事を把握し、それ以外で会社で入っている保険や社外で使えるリソースを調べ、外部監査役と利用出来る制度や助成金、参考になりそうな施策等を見ながらYさんが治療と仕事の両立が出来る環境をつくり始めていきました。私も驚きましたが、本人が一番驚いているだろうし、本人が一番集中するべきものは治療です。周りが出来る事を考えた時に「上司である川村が考えるべきものはYさんの事、そして社長である自分が見るべきものはもう少し大きな枠のものだ」との思いに至り行動に移しました。川村の事前情報収集もあり、行動する事に対して不安に思う事はなく「何ができるか」と考えながらやれる事に取り掛かりました。


ー本人が言う前に動かれて体制を作り始めていたんですね


(三好社長)Yさんは日々一生懸命仕事をしていました。性格上、仕事をしないYさんを想像できませんでしたし、それもありYさんが辞めるという選択肢も全く思いつきませんでした。したがって「急なライフイベントに直面し、一旦休むが、また復帰する。そうした時に、いつでも帰ってきて仕事が継続できる環境を作るとしたら何が必要なのか」と考えていましたね。


ー病気がわかり治療になる時どういう心境だったのでしょうか


(デザイナーYさん)とりあえず「生活どうしよう」というのが一番先に頭に浮かびました。病気よりも、「働けなくなる、どうやって生活していこう」という不安がものすごくありました。入院するなら3週間といわれていて、まだ潤沢に貯金があるわけでもない、民間の保険にも入っていない現実に直面し「お金がないのに治療できるのか」と不安になり、上司の川村や三好社長に相談しました。そこから色々とサポートしてもらい、パニックにならずに治療に専念できました。


(治療で休んでいるYさんに向け、全社員から送った色紙)


ー長山様は、同僚ががんと共に働き続ける姿勢をどうとらえていますか


(労務担当長山様)会社のサポートもあり、治療して復帰して、どんどん出来ることが増えていく。今は、在宅勤務をしながら仕事と治療を継続し、新たに好きな事や、やりたい事に対しての意欲をもち、未来の生活を想像しながら活躍し続けているYさんがいます。そんなYさんと日常的に会話をしていると私もとても嬉しいですし、良い刺激を沢山もらえています。


ライフイベントと仕事の両立を行う人へのメッセージ


(三好社長)ライフイベントは誰にでも必ず起きます。時間や場所の制限も出て、前と比べ

て活躍出来ない等悲観することもあるかと思います。私自身も子供を産んだ後、悩んだ時期もありました。しかし、今では以前と同じように働く事を目指すのではなく、職場では「やる仕事・やらない仕事、今やるべき事・もう少し後にやる事をシビアに選ぶ」、家では「出来る家事は出来るほうがやる」と夫と協力して生活と仕事を両立するようにしています。「子供がいるからこそできる事もある」という言葉を育児の先輩にあたる川村がくれ、視野が広がった事もありました。先々来る未来に対して「自分がどうしたいか」を発信する事で、周りがアドバイスしてくれたり、協力してもらえる。その人がそれまでの間、ちゃんとやってきていれば、周りも応えてくれると思います。いざという時、周りが協力したいと思えるように、出来る時にしっかりとやっておくのは大事ですね。いざ何かあったとしても悲観する必要もない、先々みんなで協力する事でさらに色々出来るようになると思っています。

(デザイナーYさん)きちんとコミュニケーションをとることと、できないことをできるためにどうしたらよいか考えることが大切だと思います。0か1かで考えて諦めないでください。私も入院、治療が必要になって働けなくなった時、「価値を提供できない自分は不要だろう」と退職することを考えていました。ですが治療で長期の休みが必要になった時でも、退職ではなく治療に専念するよう伝えられ、落ち着いたタイミングで復職に向けての話を会社のみなさんが進めてくれました。私が「働きたい、でも前みたいに働けない」と伝えると、まず働くためにどうしたらよいかを考え、負担にならないようリモートにする、月に休みを何回か設ける等配慮をいただき、徐々に働ける様になってきました。同じように病気になり大変な時間を過ごしている方がいると思いますが、諦めて欲しくない。生きていれば、ちゃんと治療していけば復帰できる。病気になったら終わりではありません。やりたい事や自分の気持ちを周りに伝える事をすれば、何かしら周りが拾ってくれるかもしれません。関わる事を諦めないで周りの人に頼って欲しいと思います。


ー治療と仕事を両立するうえでのアドバイスはありますか


(デザイナーYさん)私が継続就労する為に心掛けているのは、お休みをいただく事や仕事を引継いでもらう事を当たり前と思わないこと。私が治療休暇をいただく分、誰かがその仕事を行わなければならず、多少なりとも手間をかけているのは事実です。なるべく相手の負担にならないよう心掛けています。また、普段自分が助けられている分、私ができる時には回りの助けになるよう動くことを心掛けています。そして最後にこうした治療と仕事を両立する事例が増える事で、がんという病気を捉える周囲の理解が「がん=死」ではなく、普通に受け止めてもらえる病気になるといいなと思います。


両立支援に取り組む企業の担当者様へのアドバイス


(三好社長)「分かっているけどそんな新しい制度は作れない」と思われている方がいたら少しずつでいいので、来る未来に備えていけばいいと思います。何からしたらいいか悩むのであれば、我々のように実際やっている所に聞くのもいいと思います。私たちはそうした前向きな悩みを持つ方に対して、ソフト面もハード面もサポートできるものでしたら提供したいと思っていますので相談して欲しいと思っています。


(懇親会にて、Yさんと会話する川村様)


(川村様)当たり前の仕組みに囚われる必要はないと思います。囚われるとやれる事が減ってしまいますが、選択肢は広く持つ方がいいと思います。今回のケースで言うと私の場合、選択肢を選ぶ基準は、「部下が生きていればいい」。「Yさんが命を落とさず生活していくのが重要」でした。そこをベースに考えると出来ることは沢山あると気がつきます。組織、職務、役職ではなく、「相談してきて相手にどういて欲しいか」を自分自身として考え、行動して頂けたらいい結果に結びつくと思います。


(労務担当長山様)労務や社会保険を担当するのはこの会社が初めてでした。経験値が少ない中で、仲間の一人が病気になって戸惑いはありましたが、相手の事を考えて動き続ける事に重きを置いて行動しました。それは日々の関わり方にも共通して言える事かと思います。Yさんに関しては重い病気でしたし、自分の一言がどう影響するのかを気にして、話しかけるのを悩んだこともありました。しかし、考えていても何も解決しません。「明日お見舞いに行きたい」、「面白いマンガあったから持っていくよ」と連絡をして、顔色や体調を直接見て話す事を私はしました。「モヤモヤ考えて何もしないでいると、先々後悔するかもしれない。1人の人として出来る事はないか」と考え、自分が出来る関わりを相手の反応を見ながら続けることが大切ではないかと思っています。


(人事広報中根様)「会社と本人の信頼関係が保ち続けられるか、お互い与え合う関係性にあるか」というのが企業と従業員との良好な関係を維持するための大前提にあると思います。会社も本人も年々、状況も考え方も変わっていきますので、都度のすり合わせが大事だと思います。双方、相手に伝えるための、気持ちの自覚や明確化を日々行い、良好な関係を維持するためのコミニュケーションをしていただきたいです。会社という組織体はどうしても無機質な仕組みのように感じるものです。会社目線では「あの社員がうまく動いてくれない」、社員目線では「会社がやってくれない」などなりがちだと思います。それぞれの目線があることを、広報という立場や、いち従業員としても実感しています。与えてもらって嬉しかったら応えたくなるものなので、「与え合う関係性」を大事にする人が増え、終わりなき組織づくりを必要なものとしてやり続ける人が増えれば、働きやすい会社はもっと増えると思います。


ノヴィータが社会に伝えたいメッセージ


(三好社長)私たちは「社員と会社は相互補完の関係」と思っています。元々柔軟性をもった組織ではありましたが、それは経営陣がそうしようと思ったからではなく、社員からそうした要望があり、その声を反映させるようになったのがきっかけでした。私が社長として就任した時から掲げている事で、「社員がやりたい事を仕事にしてお金も稼げる職場を実現したい」というものがあります。一番パフォーマンスが発揮ができる場所や時間は個人によって違います。1人1人が働きやすい環境を整えるのも企業の大事な役目です。「働き方」も環境の一つと考えていて、組織でバックアップできることは実現させたいという想いがあります。ノヴィータで豊かな働き方を実現させ、そのやり方を働く側、雇用する側に発信していきたいです。


ー本日は素晴らしい取り組みや真っすぐな気持ちをお聞かせいただきありがとうございました。これからの益々のご活躍を心より応援しております。


2021年1月15日

聞き手:がんと働く応援団 吉田ゆり

文 章:吉田ゆり

写 真:株式会社ノヴィータ様提供

株式会社ノヴィータ様の取り組みのご紹介はいかがだったでしょうか。 

ぜひご意見・ご感想をお聞かせください。


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